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    研究の目的と方法
    第 1 節 はじめに 環境問題を考える時、まず大気汚染や、オゾン層の破壊な
ど、文明の発達や、工業化が 原因であることを思い浮かべるであろう。日本では、
戦後の経済成長、外国では、18 世紀 の産業革命を皮切りに、人為的な環境破壊の
現状は、公害という形で人々や、かれらが住 む社会に影響を与えてきた。 環境問
題を定義するとき、よく用いられるもので「ガイア仮説」というものがあるが、 こ
れはイギリスの化学者、ジェームズ?ラブロックが定義したものである。彼の考え方
に よると、環境問題とは、 「人間社会がこれを取り巻く外囲としての自然生態系
に様々の変化 を与え、これが再び人間や社会に悪影響をもたらす事象で、そのよう
な社会と環境との関 係性のことである」 (土木学会環境システム委員会 1998)(
*1)と定義している。人間は自 分たち中心に世界を動かしている動物であり、普段
生活している上で、あまり気づくこと は無いが、いざ自分の身の上に、環境による
災難が降りかかってきたとき、初めて自然の 脅威に気が付くのである。 ??? 第 2
 節 環境の多様性と地域に根ざした環境問題解決の必要性 学部生だった 2000 年か
ら 2001 年、中国に交換留学生として一年間滞在した。中国は、 今高度経済成長の
只中にあり、人々の生活の程度も向上しつつある。また、経済の発展に 伴って、自
動車の増加や、重工業の発達が達成されつつあり、それにより、1960 年代の日 本
のように、公害問題が増加している。 都市部では、自動車の増加や重工業の発達で
、大気汚染が激しくなっているため、晴れ ていても空が曇っている状況が見られ、
また、近年は黄砂の影響も顕著である。例えば、 晴天にも関わらず空が曇っている
など、大都市特有の大気汚染の状態を垣間見ることがで きる。 ??? (改章时,换
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    第 1 章 環境と環境教育の現状 第 1 節 世界の環境の現状 世界の様々な場所
で、環境問題が起こり、そこに住む人々の生活を脅かしている。 ここでは、特に人
間が生活を営んでいくために不可欠な資源である、土地、森林、水資源 について、
現状とその課題を把握する。 《砂漠化》 人間活動に起因する農地劣化が加速して
いるという現状がある。特に、途上国の熱帯地 域において、この減少は激しい、と
いうことが報告されている。元々土壌の形成が劣化し やすい状態にあるため、注意
深い管理が必要な土地である。また、乾燥地では、雨量が少 なく、植生がまばらな
ため、農地の土壌と植物の再生に時間がかかるという性質を持って いる。 農地の
劣化の原因は、過剰な耕作と、植生の除去である。これらの原因によって土地が 荒
廃すると、農業生産力の低下に留まらず、大気汚染、道路損害、水質汚染、砂漠化
の原 因となることが報告されている。 ??? 第3章 環境教育教材および教育過程の
検討
    第 1 節 パックテストによる水の調査 第 1 項 水環境の理解を図ることの必
要性 環境問題と聞いたとき、真っ先に挙げられるのが、水の問題である。確かに、
世界的に 見て、安全な水を使っている人の割合は少なく、水問題は、世界的に見て
深刻であるとい う状況がある。 しかし、問題意識は一般論によって刷り込まれて
おり、概念として、水は汚れている、 という理解に留まっている。実際にどのよう
なものなのかということを生活の中で意識す ることは少ない。なぜなら、水道の普
及率は高く、上下水道の整備も、各国で進んできて いるからだ。また、水道の無い
ところでも、井戸水を使っている人々が多い。飲み水や生 活用水について、不自由
の無い生活を送っている現代の人々にとって、水問題を実感する 機会は少ないから
だ。 そこで、地域の水環境を見る活動が必要になってくるであろう。実際に現場を
見て、地 域の環境を意識し、水が個々の単位で見ると大変多様であることが理解で
きるであろう。 それから、自分たちの地域から世界へつながっていくことを理解す
ることが必要となって くる。水質の汚染は、遠い世界の問題なのではなく、自分た
ちの身近なところにも原因が あるのであるということに気づくことが大切である。
 ??? 第 5 章 結論と今後の展開 環境教育に関しては、1948 年のIUCNの会議が
、パリで開かれてから、これまで様々 な会議が開かれ、その度に新しい行動目標が
提案されてきた。今最新の環境教育の定義と されているのは、1997 年のテサロニ

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